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Giselle ジゼル

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 たまにしか着ない服に数年ぶりに袖を通す時は緊張する。形が古臭くなっているのはもちろん、サイズが変わっていてチャックが途中でとまったり(!)、腰周りがピチピチになっていたりしたらショックを受けるから。…昨夜もそんな体験をしたが、どうにか大丈夫だった。

 久しぶりの服を着てどこに行ったかというと、バレエだ。
リンカーンセンター(メトロポリタンオペラハウス)を本拠地とするアメリカン・バレエシアター(ABT)。リンカーンセンターってオペラハウスじゃなかったっけ?と思った人もいると思うが、オペラもバレエもシーズンものなので、春、オペラがシーズンオフになると、バレエが始まる。でもたった3ヶ月。始まったなぁと思っているうちに、あれよあれよと日が経ち、急いで取ったチケットは今シーズンの千秋楽・「ジゼル」だった。

 ジゼルはもっとも古い演目で(初演は1841年)、どこのバレエ団も公演しているポピュラーなものの一つ。内容も、村娘ジゼルが村人に扮した王子と恋に落ちたが、王子に婚約者の姫がいることを知ってショック死してしまう(!)という古典的ロマンチック・バレエ。

 バレエはミュージカルやオペラと違って台詞がないので、観るほうも気楽なのだけど、ひとつひとつのジェスチャーに台詞と同じ意味がこめられている。けれどよっぽどの通じゃなければその意味全部を理解することは不可能なので、あらかじめストーリーを知っていた方が断然楽しめる。シアターで渡されるプレイビルには簡単なあらすじが載っているから、開演前にさっと目を通すのには便利だけど、当然ながら英語なので、ネットで検索して日本語のあらすじを読んでおいた方が気楽でいい(爆)。

 私のバレエ鑑賞歴はたかだか5年ほど。しかもそんなに数も見てないので、楽しみ方は素人そのものなのだけど、そんな私でも、やはりプリンシパルは他のダンサーとは違っていると感じる。うまく表現できないが、とにかく関節が普通のひとの何倍もある感じ。そしてまるで床にトランポリンでもあるかのように軽やかに跳ぶ。特に男性の場合、跳躍力が実力と結びつくようで、高く跳べば跳ぶほど、拍手が沸いていた。

 NY(リンカーンセンター)にはこのABTのほかに、ニューヨーク・シティ・バレエがある。ABTが(オペラハウスのゴージャスさに合わせたように)クラシカルで正統的なバレエなのに対し、シティ・バレエの方は、もっと現代的で、変化を柔軟に取り入れている感じがする。よりモダンダンスに近い、というような(ちなみにシティバレエはニューヨーク・シティ・オペラと本拠地を共有している。うまくできてるなぁ!)。今はもう引退したが、日本人のプリンシパル(堀内元さん)が活躍していた時期もあった。
 バレエといえば、そのルーツからして観る方も演じる方も、白人のものというイメージが強いが、時代とともに確実に変化してきているようである。世界中のバレエ団で日本人も活躍しているように(前述の堀内さんは、NCBで東洋人初のプリンシパルだった)、黒人やヒスパニック系のダンサーも増えてきたようだ。今回見たジゼルのプリンシパルもキューバ出身だった。スタイルもいいし、運動能力も高そうだし、顔の色なんて関係なく実力で選ばれるのは実は当たり前のことなのかもしれない 。その'当たり前'がつい最近まで当たり前じゃなかったわけだけど。いやいや、そもそもバレエを始めるきっかけさえごく一部の人々にしか与えられていなかったんだろう。

 プレイビルにはキャスト、あらすじ、広告、寄付主リストなどのほかに、毎回特集記事が載っている。今回はABTのバレエ学校についてだった。ジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクール(JKOスクール)には13歳から18歳の生徒が通っている(寮はない)。午前中に普通の学業を終え、午後にはバレエのレッスン。土曜日は一日中レッスンで、日曜日だけが休み。それだけ練習を積んでも、プロのダンサーになれる補償はないのだから、つくづく厳しい世界だと思う。記事に出てきた生徒は皆、ロミオとジュリエットのバルコニーシーンに憧れているのだそうだ。ガンバレ!
by columbus59 | 2005-07-17 17:32 | daily life | Comments(0)
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