西川美和監督作、「ゆれる」を新宿に観に行った。
オダギリジョー、香川照之主演。 東京で写真家として成功している弟、猛(オダギリ)と、地方に残り実家のガソリンスタンドを継いだ兄、稔(香川)との「兄弟の確執と絆」をめぐるストーリー。 前評判や西川監督のインタビュー記事を読んで、封切り前からずっと観たいと思っていたのだけど、その想いにかなうというか、私にとっては期待通りの作品だった。 オダギリジョーの演技力が評判を呼んでいるらしいが、私個人としては、香川照之がすごかった。香川の演技があってこそ、オダギリの演技が活きているような感じがした。つまり、私の中では香川照之がこの物語の真の主人公だったように見えたのだ。 それにしても、西川監督は1974年生まれ。 この歳にしてあんな映画をつくってしまうとは…。すごい。。 **(以下、ネタバレありです。)** 観終わって、遅めのランチをとりながら、どうして猛が、法廷であんな証言をしたんだと思う?という話になった。 信じていたはずの兄、自分が思い描いていた兄像が少しずつ崩れていくなかで【というか、実はずっと存在していた兄弟間の確執や亀裂がここで表面化することで】、そのうえ面会室での兄の真をついた言葉が決定打となって、吊橋の上で起こった出来事が、証言したように「見えてしまった」のではないか。 けれども、7年後に昔のフィルムを見返しているなかで、兄に手を引いてもらっている自分の姿を目にし、自分が事実として記憶し、証言したことは、「事実」ではなかったと初めて気がついたのではないかと。あくまでわが家の解釈なのだけど…。 結論が出なかったのはラストシーン。 兄のあの笑みは兄弟の信頼の回復を意味するのかどうか…。 ストーリーの中では、色んなものが「ゆれて」いた。 すごく完成度の高い映画だと思った。
by columbus59
| 2006-08-06 15:47
| ひとりごと
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